Google earthの話

20160823
 
 祖父が亡くなった年の夏、8月の終わりに墓参りのため帰省した。初盆は仕事で帰れなかった。
 
 富山に帰った翌日の朝に母方の家の墓参りに行き、夕方は父方の家の墓参りに行った。その日は朝からかんかん照りだったが、夕方には小雨がぱらついた。湿度の高い、空気が肌にまとわりつくような暑さは富山に帰ってきたという感じがする。(日本の夏は蒸し暑いもので何もここに限ったことではないと思っていたけれど、この前富山に行ってきたというお客さんが「富山は蒸し暑いね」と言っていて、やっぱりそうなんだと確信を持ったのはつい最近のこと)
 
 夕飯を済ませた後、墓参りの報告をした後だったか「そういや、見たか?グーグルアース」と父が言った。
 Google earthに祖父の姿を最初に見つけたのは父だった。父はメールや電話を積極的にする人ではないので、私はいつかの仕事帰りに電話で母からそのことを聞いて、知った。でもその時は見なかった。ひとりでは見ようという気持ちにならなかった。
 
 「なん、まだ見とらんよ」
 「まだ見とらんがか」
 「だって、怖くない?」
 
 私がそう言うと「なん怖いことあっか」と父は笑ってちょっと待っとれ言い、二階の自室から携帯を持ってきてGoogle earthのアプリを開いた。Google earthのあの青い地球がくるくる回る様は、ほんとうに、いつ見ても感心する。
 実家は、周りに目印となるものがあるため割とすぐに見つかる。黄色いぺらぺらの人がたを地図上に落とし、行き過ぎ、もっと手前、あーそこそこなどど言いながら操作していると祖父の姿が映し出された。
   なんだか想像していたのと違う。なんというかいまいちぴんとこない写真だった。
 
 「あれ、じいちゃんこんな帽子被っとった?」
 「あんまかぶっとらんだけど、たまに被っとった気ぃするわ。ほら、集金袋持っとるねか。信金かなんかの帰りじゃないかね」
 「あ、ほんまや」
 「いっつも大事そーに持ち歩いとったちゃ」
 
 台所で洗い物をしていた母がいつの間にか加わっていた。祖父は、隣の家を挟んだむこうの駐車場から家に戻る途中のようだった。

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